オープニングの選択

自分が使っていくオープニング手順を決めるにはどうしたら良いでしょう。

A案 オープニングに関する本を読み、使いたい定跡を決める。
B案 どの初手を使うか決めて、それに続く手順を覚えていく。

A案、B案 どちらにしても、白番(白側)のときもあれば
黒番のときもあるので白番、黒番、それぞれでオープニング手順を
選択する必要があります。


A案について
定跡の手順をただ覚えていくだけでは面白くないうえに、一手ごとの意味を
理解せずに進んでしまうと、臨機応変に対応する応用力に欠けます。

オープニング入門のような本を読んで、どんなオープニングがあるか知り
各手順にはどのような意味があるかを知り、それから使うオープニングを
決めていけばいいでしょう。

オープニング入門的 和書
「やさしい実戦集(チェスマスター・ブックス)」
同著者の 定跡と戦い方 の本もありますが、やさしい実戦集の方が
読みやすく、適度な解説があり、序盤の指し方の項目もあります。


オープニング関連 洋書
Winning Chess Openings  オープニング入門としてオススメです。

MCO Modern Chess Openings 15th Edition
オープニングをまとめた辞書のような本。持っていて損はないと思いますが
手順解説はほとんどなく、自分が使うオープニングを選択するのには活用し
づらい気がします。

FCO Fundamental Chess Openings
各オープニングについて十数手ぐらいまで解説があり、私はオープニング
レパートリーを決めるときに役立ちました。


B案について
始めはあまりあれこれと考えず、とりあえずひとつのオープニングから
始めてみるといいでしょう。いろんなオープニングを試しているうちに
使うオープニングが決まってくると思います。

まずは初手を選びましょう。どんな初手を選んでも自由ですが、使いたい
オープニングが決まってないのでしたら、1.e4 がいいでしょう。

"A beginner should avoid the Queen's Gambit and the French Defense and play open games instead! - Richard Reti"
初心者はクイーンズギャンビットやフレンチディフェンスを避けて
オープンゲーム(1.e4 e5)をした方が良い。というのがあったので
私は 1.e4 から始めました。ご参考までに。


初手が決まりましたら次へ進みます。

白番の場合
1.初手を決める
2.その後の手順を決めていく
3.その手順の定跡名を知る。

という方法でやっていきます。


1.初手を決める
例として 1.e4 を使うことに決めます。

2.その後の手順を決めていく
さて、初手以降は相手が指した手によって、こちらも手を決めていきます。
1.e4 に対して黒はどんな手を指してくるでしょうか。

まず Opening exploler - lichess で e4 の所をクリックしてください。


すると 1.e4 に対する応手が多い順に表れます。


1.e4 に対し最も多いのは 1...c5 以下 1...e5 1...e6 1...c6 
のようになっています。どれにしたら良いか決めるために
下記項目を参考にしましょう。

ゲーム その手が指されたゲーム数(このデータ内で)
白勝 → 白勝率
ドロー → 引き分け率
黒勝 → 黒勝率

1手前に戻すには |◀ の所をクリックします。


ゲーム数が多いほど、多くの人が使う手になりやすく、より多くの手順を
知っている方が有利というようなことになりがちです。

そのため相手は知らないけど、自分は知っている有効手順に持っていく
というのもひとつの方法です。例えば、2番目や3番目にゲーム数が多い
手順をあえて選ぶなど。

1...c5 は Sicilian Defence で中級者ぐらいからこの手を使う人が増えてきます。
1...e5 は オープンゲームで、初心者から上級者まで幅広く使われています。

これからオープニングを学んでいく方は 1...e5 を先に使っていくといいでしょう。
ということで 1.e4 e5
次は 2.Nf3 2.Nc3 2.f4 2.Bc4 2.d4 まではゲーム数が多いのに 2.d3 は
ガクンとゲーム数が減ります。

ゲーム数が極端に少ないということは、一般的にあまり有効な手順ではない
と思っていいでしょう。

このような感じで、手順を決めていきます。

3.その手順の定跡名を知る。
本などで定跡を知って使っていく場合の方が多いでしょうが
その手順の定跡名を本以外で知るには、オープニング (チェス) - Wikipedia
が参考になります。

B案は有効手順を知るひとつの方法ですが、手順の意味を理解することが
大事なので本でオープニングを学ぶのが理想的です。

ただ和書でオープニングを扱っている本は少ないため、このサイトの
右サイドバーの下側にある各オープニングの解説が、1手ごとの意味を知る
のに役立つと思います。


黒番の場合
1.白初手に対する応手を決める。
2.その後の手順を決めていく

白番の時と同様なやり方で。


もし相手の指した手が本や、Opening Exploler - lichess にない場合で
有効手順を知りたい場合は、lichess で棋譜解析が行えます。

ゲーム分析を行えば、オープニングだけでなく、中盤、終盤で、どこでミスを
したか、どのような手が有効なのか知ることができるので、上達に非常に
役立ちます。スマホの lichess アプリでも可能ですが、下記は PC で棋譜解析
をする時の参考画像です。




棋譜解析は終了したゲームの各局面でも行えます。始めはとても参考に
なると思いますが、コンピューターの棋譜解析だけに頼り過ぎないように
しましょう。

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