Giuoco Piano


「ジュオーコ・ピアノ」はイタリア語で「静かなゲーム」の意味。



1.e4
センターを支配し( d5 と f5 を支配 )、クイーンとビショップの通り道を開けている。
可能ならば次に 2.d4 として、センターの支配を増やしたいところ。



1...e5
黒も e ポーンを進めて白に対抗する( d4 と f4 を支配 )。白が 2.d4 として、センターの支配を増やすのを防いでいる( 1...e5 2.d4 exd4 3.Qxd4 Nc6 となるのは白として理想的とは言えない )。1.e4 e5 は Open Games と呼ばれ、初心者から上級者まで幅広く使われている。




2.Nf3
1.e4 e5 に対し最も多く使われ、有効とされる手。ピースの展開とともに、e5 ポーンを攻撃しているため、黒は対応を考えなければならない。センターとして重要な d4, e5 のマスに利きを及ぼしている。キャスリングの準備となる1手でもある。

2.Nh3 ではナイトがセンターから遠くなり、有効に働いておらず、2.Ne2 では f1 ビショップの通り道を塞いでしまうため、キャスリングが遅れてしまう。

一般的には「ビショップよりもナイトを先に展開せよ。」と言われている。ナイトの方が遠くまで行くのに手数がかかるため、先に展開させる。




2...Nc6
ピースを展開して、e5 のポーンを守り、センターとして重要な d4, e5 に利きを及ぼしている。

下記の手は良くない。
2...Qe7 f8 ビショップの展開を妨げている。
2...Qf6 g8 ナイトの展開場所を妨げている。
2...f6 g8 ナイトの展開場所を妨げている。黒キングが h5-e8 ラインから攻撃を受けやすくなる。
2...Bd6 d7 ポーンの前進を妨げている。




3.Bc4
f1 ビショップを展開させることでキャスリング可能となる。守りの弱い f7 ポーン をねらうとともに、黒が d5 とするのを防いでいる。
1.e4 e5 2.Nf3 Nc6 3.Bc4 は Italian Game と呼ばれる。



3...Bc5
f8 ビショップを展開させキャスリングの準備をするが、g8 のナイトが展開してないので、黒はまだキャスリングできない。白と同様に攻撃を受けやすい f2 ポーンと、センターに利きを及ぼしている。

ナイトを先に展開させる 3...Nf6 Two Knights Defence も有効な手順であるが、Giuoco Piano では 3...Bc5 とする。




4.c3
次に 5.d4 として、5...exd4 6.cxd4 となれば、白は d4, e4 にポーンが並び、センターの支配が増す。

クイーンを b3 に持っていくことが可能になり、そうなれば f7 へのプレッシャーとなる。b1 ナイトが c3 に展開できなくなるというマイナス面もある。




4...Nf6
ピースの展開とともに e4 ポーンを攻撃し、d5, e4 に利きを及ぼす。黒もこれでキャスリング可能となる。

4...Bb6 や 4...Qe7 5.d4 Bb6 は 4...Nf6 より劣る。
4.Qe7 5.d4 exd4 6.0-0! dxc3 7.Nxc3 となれば、白は黒よりもポーンがひとつ少なくなるが、キャスリングを済ませ、ピースの展開で勝っているため、白有利となる。




5.d4
白は e4 ポーンを攻撃されているが、かまわず攻撃に出る。5...exd4 6.cxd4 を強要する手。c1 ビショップが展開可能となる。

現代では 5.d3 が主流。




5...exd4
c5 のビショップを動かすよりも良い。




6.cxd4
白はセンターに2つのポーンを置くのに成功し一見有利に見えるが、そうともいえない。

6.e5 d5 7.Bb5 の変化もある。




6...Bb4+
6.cxd4 で c3 が空いたので、チェックが可能となる。チェックすることで白の応手を強いる。6...Bb6 としたのでは、7.e5 や 7.d5 で白のセンターポーンが有効に働き、後手に立たされる。




7.Bd2
チェックをブロック。7.Nc3 Nxe4 8.0-0 Bxc3 9.d5 の変化もある。




7...Bxd2+
黒は後手に回らぬよう、すかさずチェック。

7...Nxe4 8.Bxb4 Nxb4 9.Bxf7+ Kxf7 10.Qb3+ の変化もある。




8.Nbxd2
ビショップを取りながらナイトを展開させ、e4 ポーンも守っている。




8...d5
c4 ビショップと e4 ポーンに同時に攻撃を加えることにより、d4, e4 に並んだポーン形を崩させる。c8 ビショップが展開できるようになる。8...d6 では d4, e4 ポーンを有効に働かせてしまう。




9.exd5
9.Bxd5 9.Bd3 9.e5 の手よりも良い。

ポーンをポーンで攻撃されたとき、対応としては
ポーンで取る
ピースで取る(可能ならば)
そのまま
ポーンを進める
他の駒でポーンを守る

があるので、状況により最も良い手段を選ぶ。



9...Nxd5
クイーンで d5 ポーンを取ることはあり得ず、c6 ナイトを動かしても
後手に回るため、素直に f6 ナイトで取る。




10.Qb3
キャスリングするのも悪くないが、アグレッシブな手を選んだ。d5 ナイトを狙っているだけでなく、d5 ナイトが動けば f7 ポーンを取ってチェックができる。2つ以上の狙いがある手は有効な場合が多い。




10...Nce7
d5 ナイトを守り、キャスリングを可能にする。

10...Na5 11.Qa4+ Nc6 12.Qb3 なら同じ局面に戻る。


11.0-0 0-0
ここで白黒ともにキャスリングをしてキングを安全な場所に移す。



ここからまたどういう風に攻防が続くか課題となるが、白黒ともにキャスリングを済ませ、オープニング(序盤)からミドルゲーム(中盤)に移行する段階でもあり、オープニングを学ぶ段階として、始めはこのぐらいまで知っておくだけでも良いだろう。経験とともに、さらに長い手順を学び、覚えていこう。


参考文献
Giuoco Piano - Wikipedia
Swansong of the Giuoco Piano Part1 by Tim Harding - ChessCafe.com

コメント