Baltic Defence


ボーティック ディフェンス。Grau Defence Sahovic Defence とも言われる。
1.d4 d5 2.c4 e6 の Queen's Gambit Declined では Bc8 を展開させずらいので
先に Bc8 を展開させ、3...Bxb1 などの狙いがある。
面白い状況ではあるが白3手目の変化が多いのと、白が 2.c4 としてこない
場合は別の対応が必要となる。

Baltic は「 バルト諸国の 」という意味があり、エストニア出身のグランドマスター Paul Keres がこのオープニングを使っていたことに関連している模様。バルト三国( エストニア、ラトビア、リトアニア )。


主な変化
3.cxd5 Bxb1
3.Nf3 e6
3.Nc3 e6
3.Qb3 e5 4.Qxb7 Nd7


1.d4 d5 2.c4 Bf5


3.cxd5 Bxb1 の狙いがあるが、白が 3.cxd5 としてこなかった場合の
対処も必要。Bc1 が展開することで b7 ポーンの守りがなくなることに
気づいておきたい。


3.cxd5


黒の誘いに乗るようだが悪手ではない。3...Qxd5 なら 4.Nc3 で
黒クイーンを攻撃して 5.e4 につなげられるが、3...Bxb1 としてくる
場合が多いだろう。

d5 に白ポーンがあるうちは Qa4+ とする狙いがある。
c ファイルがハーフオープンファイルとなった。

他に 3.Nf3  3.Nc3  3.Qb3 などの手がある。

3.e3 とするのは Bf1 の利きが開かれ悪くない感じがするが
Bc1 の展開が妨げられる。


3...Bxb1


この定跡を知らない白プレイヤーはビックリするかも知れない。
黒は序盤早々にビショップペアを放棄してしまうが、白がルークで
Bb1 を取るのに1手かかるため、その間に ...Qxd5 としたり
積極的にピースを活用する狙い。

定跡で覚えてしまうかも知れないが 3...Bxb1 とすると 4.Qa4+
とされる手があるため、黒は対策を持っておきたい。

序盤早々にビショップペアの利点を失うような展開は
中級者( R1500 ~ ぐらい )になるまでは避けた方が無難。
ストラテジー( 戦略 )をある程度学んだ後なら面白いゲーム展開
となるだろう。


4.Qa4+


4.Rxb1 とすることもできるが、Qa4+ で黒に対応を迫る。
4.Qa4+ に対し黒は 4...Qd7 でクイーンを交換するか
4...c6 とする選択がある。

4...Qd7 5.Qxd7+ となればクイーンがなくなった状況で白は
ビショップペアの利点を活用することが考えられる。

4.Rxb1 Qxd5 5.a3 Nc6 など


4...c6


黒に 5.Rxb1 または 5.dxc6 の対応を迫る。
5.dxc6 は 5...Nxc6 6.Rxb1 の後 6...e5 という手がある。

4...Qd7 5.Qxd7+ Nxd7 6.Rxb1 Ngf6


5.Rxb1


5.dxc6 が悪いわけではないが、5.dxc6 Nxc6 だと Nb8 が c6 に展開する。



5...Qxd5


素直に取る。d と c ファイルがハーフオープンファイルとなった。

白プレイヤーは a2 ポーンが d5 クイーンに攻撃されていることを考慮すべき。
a4 のクイーンを a2 ポーンの守り以外で活用させたいので。


6.Nf3


自然な手。6.e3 では Bc1 の展開が妨げられる。


6...Nd7


この手で黒はクイーンサイドに キャスリング可能となるが、そのためではなく
Nb8 を展開させ黒マスを支配する。状況によって e7 → e5 としたり
 Nb6 とすることも可能となる。

6...Nd7 とすると Qd5 が d7 d8 に下がれなくなるため、Qd5 の安全性を
考えておきたい。

6...Nf6 としても 定跡的には同じような展開になる模様。


7.b4


クイーンサイドでスペースを得る。状況によって b4 → b5 とする狙い。

白7手目は変化が多い
7.a3  7.e3  7.Bd2 など


7...Ngf6


キングサイドのナイトを展開。7...e6 としても同じような展開になるようだが
7...e5 では変わってくる。

7...e5 8.dxe5 Nxe5 9.b5 Nxf3+


8.e3


Bc1 の展開を妨げるが、キャスリングするために Bf1 のラインを開く。


8...e6


黒も Bf8 のラインを開く。黒 e6 と c6 のポーンストラクチャーは
他の定跡でも見られる好形。

白にビショップペアがある限り、黒としてはオープンな局面は避けたい。


9.Qc2


ボードの端の方では活用しづらいため、a2 ポーンを守りつつ好位置へ後退。
Bd3 や Bc4 と連係も取れる。

a2 → a4 とすることも可能となる。


9...Bd6


好位置へ展開。ただし 10.Bc4 でクイーンが攻撃を受けるため
クイーンの安全性を考えておきたい。


10.Bd3


黒がキングサイドにキャスリングした場合、h7 にプレッシャーとなる。

10.Bc4 Qh5 11.Be2 Qg6


10...Qh5


Bd6 と 状況により Ng4 と連係して h2 へプレッシャーを与える。

11.h3 0-0 12.0-0 e5 などと続く( 下図 )



13.dxe5 でポーン交換となれば、白はキングサイド、黒はクイーンサイドで
ポーンマジョリティとなる。

白はビショップペアの活用、黒はできればクイーンを交換せずに
活用していきたい。1手のミスが大きな差となりそう。


参考文献
Baltic Defense - Wikipedia

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