London System


ランダン システム。Queen's Pawn Game の1つ。
d4 、Nf3 、Bf4 、e3 に駒を配置する定跡。

1922年 London BCF Congress Tournament から流行したことに由来している。

白プレイヤーにとって学びやすい定跡だが変化は多い。黒プレイヤーは対処法を持ってなければ攻め所が分かりづらく手こずりやすい。

Queen's Pawn Game は 広義では 1.d4 で始まるオープニングであるが
たいていは 1.d4 とした白プレイヤーが 1.d4 d5 に対して 2.c4 の
Queen's Gambit としない場合の定跡を表す。

BCF → British Chess Federation


1.d4 d5 2.Bf4


2.Nf3 とするのは自然だが、黒が e7 → e6 とする前に Nf3 とすると問題が
起きる場合がある。

e2 → e3 とする前に Bc1 を f2-e3-d4 のポーンチェーンの外に展開して
おけば活用しやすい。

Bc1 が展開することで b2 ポーンの守りが外れていることに気をつけて
おきたい。


2...Nf6


黒は自然なピース展開。

2...c5
3.dxc5 で白はポーン1つ得する感じがするが
3.dxc5 Nc6 以降 黒は c5 ポーンを取れるようになる。
もし白が 4.a3 や 4.c3 から 5.b4 として c5 ポーンをも守ろうとすれば
黒が有利になっていくため、2...c5 には 3.e3 が無難。

気をつけたいのは 2...c5 3.Nf3?! とすると 3...cxd4 4.Nxd4?! Nd7 で
黒が良くなる。

2...Bf5 
黒も e7 → e6 とする前に Bc8 をポーンチェーンの
外側に展開。悪手ではないがデータベース的に黒の勝率は低め。
2...Bf5 3.e3 e6 4. Nf3 Bd6 など


3.e3


3.Nf3 としたくなるが e7 → e6 となるまで Ng1 の展開を遅らせる。
Bf1 が展開可能となる。


3...c5


d4 ポーンを攻撃しセンターに影響を及ぼす。
Qd8 が b6 や a5 に展開可能となる。

4.dxc5 となっても 4...Nc6 で問題なし。

以下の変化もある
3...e6  3...g6  3...Bf5


4.c3


b2-c3-d4-e3-f2 ポーンの形からピラミッドを作ると言われる。

Nb1 が c3 に展開できなくなるが Nb1 は d2 に展開させる。
Qd1 が a4、b3、c2 に展開可能となる。

4.dxc5 とするのは良くないようで、テンション( 互いに駒を取れる形 )を
保ったままにする。
d4 ポーンがなくなると黒が後で e7 → e5 で反撃しやすくなる。


4...Nc6


キングサイドにキャスリングを急がず、ナイトを好位置に展開。
後で e7 → e5 とするのをサポートできる。

4...cxd4 や 4...c4 でテンションを開放しない。テンションを開放すると
センターの圧力がなくなり、白がキングサイドで攻撃しやすくなる。

もし黒が ...cxd4 としてきた場合、白は e ポーンで取り返すのが
良いとされる。


5.Nd2


黒が Qb6 で b2 ポーンを攻撃してきた時、Nb1 を展開しておくことで
Ra1 を取られることを防ぐ役割がある。

f3 にナイトがいなければ d1 → h5 に Qd1 の利きがあるため
黒は ...Nh5 で Bf4 を攻撃できない。


5...e6


Bf8 が展開できるようになる一方、Bc8 の展開が妨げられる。


6.Ngf3


e7 → e6 となったので Ng1 を展開させる。


6...Bd6


Good Bishop の Bd6 と Bad Bishop の Bf4 の交換は白有利になりそうだが
7.Bxd6 Qxd6 となると黒はクイーンを展開でき、次に ...e5 とできるように
なる。

6...Be7 の変化もある。


7.Bg3


7...Bxg3 8.hxg3 となれば h ファイルが開き白にとって都合が良い。


7...0-0


キャスリングを済ませる。黒として自然だが、白のキングサイド攻撃に
対処しなければならない。


8.Bd3


キングサイドを攻撃できる好位置に展開。Bxh7+ のサクリファイスを
することもある。


8...b6


Bc1 が a6 b7 に展開可能となる。

8...Nh5?! 白が 0-0 してない状況で Bg3 を取りにいくのは
h ファイルが開き良くない。


9.Ne5


Nf3 を e5 に展開するのは London system で key move の1つ。
黒が e6 → e5 とするのを防いだり、f2 → f4 と続けて Stonewall と呼ばれる
c3 d4 e3 f4 のポーンストラクチャー を作る。

d1 → h5 ラインが開かれるため、Bxh7+ のサクリファイスから Qh5+
という攻撃が将来的に考えられる。

Qd1 の利きにより、Nf6 が g4 や h5 に展開するのを妨げていることにも
注目したい。


9...Bb7


展開してなかった最後のマイナーピースを展開、Nc6 を守る。

9...Nxe5?? 10.dxe5 でフォーク
9...Bxe5?! 10.dxe5 も Good Bishop とナイトの交換となり、10.dxe5 で
Nf6 も追いやられて良くない。


10.f4


黒が e5 のナイトを取ってきてもポーンで取り返すことができ
黒が e6 → e5 とすることを阻止できる。

fxe5 となれば f ファイルが開かれハーフオープン f ファイルを
活用することも考えられる。

f4 としたことで e3 ポーンがバックワードポーン( 後方にあり他のポーンで
守れなくなっている )ことにも気づいておきたい。


10...Ne7


白が b1 → h7 ラインで Bd3 とクイーンのコンビで攻撃してくること
への対処。

Ne7 → Nf5 ( 場合によって Nf5 → Nd6 → Ne4 )
Ne7 → Ng6
...g6 とする場合もある。

その後 11.Qf3 Nf5 12.Bf2 Be7 13.g4 Nd6( 下図 ) などと続く。


白はキャスリングをせずキングサイド攻撃をしようとしているのが特徴的。
こういう攻め方に慣れてないと始めは難しく感じるかも知れない。
クイーンサイドにキャスリングもあり得るが状況を見つつ。

黒は白のキングサイド攻めに対処しつつ e4 の Hole( 白がポーンで守れなく
なっている弱いマス )の活用など。安易に駒交換せず、有利を得る駒交換
ポーンストラクチャーを考えエンドゲームを有利な状況でむかえたい。

参考文献

Learn the London System Opening with 1 d4 d5: In five simple stages
Ideas in the London System( lichess study )
London System Repertpire( lichess study )
Win with the London System - Sverre Johnsen, Vlatko Kovačević
London System - Wikipedia
The London System – an opening for you?

コメント

hitsujyun さんの投稿…
Beating the London System( lichess Study )
https://lichess.org/study/xTTqboc0