Colle System


コーレ システム。ベルギーのマスター Edgard Colle( 1897 ~ 1932 年 )
により紹介され、George Koltanowski( 1903 ~ 2000 年 )により発展した
ため Colle-Koltanowski system とも呼ばれる。

定跡を覚えやすく、白番の 1.d4 オープニングと キングサイド アタックを
学べる。黒番としても Colle System にどう対応したら良いかためになる。

白 e3 → e4 、黒 e6 → e5 の ポーンブレイク は良い時と悪い時があり、ためになるが難しくもある。


主な変化


1.d4 d5 2.Nf3 Nf6 3.e3 e6 4.Bd3 c5

5.c3
5.b3( Colle-Zukertort System )

Anti-Colle
3...Bg4 
3...Bf5
3...c6
3...g6


1.d4 d5 2.Nf3


自然なピース展開。1.e4 e5 2.Nf3 のような雰囲気だが、e5 のマスにナイトを展開できるのが異なる。

白2手目は 2.c4  2.Bf4  2.Bg5  2.Nc3 など
いろいろあり、各変化について学ぶのもためになる。

白が2手目に何を指してくるかで黒も対処してくる。


2...Nf6


同様にナイトを展開。白が e5 のマスを活用するように、黒も e4 のマスを活用しようとする。

f6 にナイトがいることで Bg5 などで攻撃を受ける可能性がある。

2...c6  2...e6  2...Bf5  2...Nc6
2...c5  など
黒2手目変化は多く、白プレイヤーは対応が必要となる。


3.e3


Bc1 の展開を妨げるため悪手に思えるが、まずは Bf1 を展開できるようにする。

3.c4  3.Bf4  3.g3  3.Bg5 など
白3手目変化もいろいろあるので黒プレイヤーは対応が必要。


3...e6


白としては 3...Bf5 や 3...Bg4 とされる方が嫌な感じで、3...e6 を疑問視する声もある。

e6 ポーンで Bc8 の展開が妨げられるため、Bc8 の活用が問題となる。

3...c6  3...g6 などもあり、黒プレイヤーが何の定跡を使ってくるかにより対応が異なってくる。


4.Bd3


e4 を支配、黒のキングサイドを攻撃しやすい位置に展開。

Bxh7+ のサクリファイスから有利を得たり、メイトに至ることもある。


4...c5


白が c4 としてこないので黒の方から d4 のセンターポーンへ影響を及ぼす。

d8 → a5 ラインが開かれたので白は気づいておきたい。

Nc6 と続けてセンターに働きかけたり、黒 c ポーンがなくなれば c ファイルの活用が考えられる。

黒のポーンストラクチャーは 1.e4 e6 の French Defence などでよく起こる。


5.c3


d4 ポーンをサポート、c5 → c4 となった時に Bd3 を c2 に動かせる。

c3 - d4 - e3 のポーン形は London System や Stonewall Attack などの定跡でも見られる。Bc1 が f2 - e3 - d4 のポーンチェーンの外に展開してないのが London System と異なる。

d1 → a4 ラインが開いたことも黒は気づいておきたい。

5.b3
Bc1 を b2 にフィアンケットするのは Colle-Zukertort System と呼ばれ、こちらの方が人気がある。白番としては 5.c3 または 5.b3 どちらを使うか選ぶことになる。黒としては両方に対応が必要。


5...Nc6


c5 ポーンとともにセンターに影響を及ぼす。

白が e3 → e4 の break を狙ってくるように、黒も e6 → e5 の break をしてくることがあるため、白は注意したい。

5...Nbd7  5...Bd6  5...Be7 などもある。

Nb8 を c6 ではなく d7 に展開した場合、白は対応を変える必要も出てくる。


6.Nbd2


6.0-0 も可能だが 黒が Ne4 としてくることを防ぐため Nbd2 とすることがある。


6...Bd6


e5 を支配、キングサイドに攻撃しやすい位置でもある。

6...Be7 7.0-0 0-0 8.e4? dxe4 9.Nxe4 cxd4 10.cxd4 Nxd4
黒がポーン1つ得する。


7.0-0


7.e4 は時期尚早で 7...cxd4 8.cxd4 dxe4 9.Nxe4 Nxe4 10.Bxe4 Bb4+! 11.Bd2 Bxd2+ 12.Qxd2
孤立 d4 ポーンができ、エンドゲームで不利を招く可能性がある。


7...0-0


黒もキャスリング。

7...e5? とするのもまだ良くないようで
7...e5? 8.dxe5 Nxe5 9.Nxe5 Bxe5 10.e4! 以降 白が良い。


8.dxc5


e3 → e4 とする前に Bd6 を e5 支配からそらす。

キャスリング後の 8.e4 は可能なようで
8.e4 cxd4 9.cxd4 dxe4 10.Nxe4
孤立 d4 ポーンができるがマイナーピースが多く残っており戦えるらしい。

8.Re1 e5! 9.dxc5 Bxc5 10.e4 Bg4

白の e3 → e4、黒の e6 → e5、いずれも良い時と悪い時があり、なかなか難しい。


8...Bxc5


素直に取る。


9.e4


定跡的な手。e4 → e5 として Nf6 を追いやるのが1つの狙い。

9.b4 Bd6 10.Bb2 e5


9...Qc7


白 e4 → e5 を妨げる。Qc7 の利きが c7 → h2 に及んでいることに白は気をつけたい。

9...dxe4 10.Nxe4 Nxe4 11.Bxe4 Qxd1 12.Rxd1 となると白はクイーンサイド、黒はキングサイドでポーンマジョリティ。白のビショップペアの方がアクティブで d ファイルを支配している白が良い感じ。

9...e5!? 10.Qe2 or 10.exd5


10.Qe2


再度 e4 → e5 の狙い。

10.exd5!? exd5 11.h3? Bxh3! 12.gxh3? Qg3+


10...h6


白に e4 → e5 とするのを許すが、Bxh7+ のサクリファイスを予防する手。

10...b6  10...Bd6  10...Ng4  10...Bb6
など、黒10手目は変化が多い。

11.Bc2 Bb6 12.a4 a6 などと続く( 下図 )



マイナーピースが全て残っており、このような局面は難しく感じる。
定跡を見ると 白 e4 黒 d5 のポーンテンションを保ちつつ
ピースを動かしていく模様。Bb6 にピンされていることが白にとっては厄介。
白はすぐ攻撃をしかけていくという感じではなく Positional Play となりそう。

" positional play:ポジショナル・プレイ。すぐに直接の攻撃を狙うのでなく、
陣形のわずかな差を拡大して小さな優位を積み上げていこうとする指し方。"
チェス用語小辞典(英和)より


参考文献

Starting Out: The Colle - Richard Palliser
Colle System - Wikipedia
Opening Basics #36: Colle system
ANTI COLLE GAMBIT( lichess study )

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