Barry Attack


バリー アタック。Barry は British slang( 英俗語 )で Rubbish( ごみ、がらくた、くだらないもの )の意味。Barry Attack は 低レートプレイヤーを簡単に負かせる攻撃、の意味らしいが、由来については諸説あるようでハッキリしない。

白が d2 → d4 から Bf4 とするのは London System に似ているが、Nc3 としている所が異なる。

d4 オープニングで黒が g7 → g6 から Bg7 とフィアンケットしていると、白はキングサイドアタックをしづらくなるが( Bd3 が g6 ポーンにブロックされる )、Nc3 としている Barry Attack は黒のキングサイドフィアンケットに対抗する。


1.d4 Nf6 2.Nf3 g6


黒のキングサイド フィアンケットは、白が e2 → e3 から Bd3 とする形の Colle System や London System を使うプレイヤーにとっては厄介( London System ではその場合 Bd3 ではなく Be2 とする模様 )。

白がどのような手を指してくるかによって、黒の指し手も変わる。

白が c2 → c4 としてくれば、d7 → d6 の King's Indian Defence や d7 → d5 の Grünfeld Defence、Nc3 から e2 → e4 の形になれば d7 → d6 で Pirc Defence など。


3.Nc3


e2 → e4 とする狙い、ただし 3...d5 とされると e2 → e4 とできない。


3...d5


e2 → e4 を妨げる。c8 → h3 ライン、e8 → a4 ラインが開かれる。


4.Bf4


Barry Attack。e2 → e3 とする前に f2-e3-d4 のポーンチェーンの外側へ展開。

Bf4 の利きが c7 ポーンに及んでいるため、Nb5 とされることに黒は注意したい。

白としては、Bf4 とすることで b2 ポーンの守りがなくなっていること、...Nh5 で Bf4 が攻撃されることなど注意したい。


4...Bg7


自然な手。5.Nb5 となっても白はまだ有利を得られない。

4...c6 は solid な変化。
4...c6 5.Qd2  5.h3!?  5.e3 など


5.e3


メインライン。Bf1 をどこに展開するか?

5.Qd2 Tarzan Attack

5.Nb5 Na6 6.e3 0-0 7.c4 c5


5...0-0


先にキャスリングを済ます。

5...Bg4!? 6.Be2 Bxf3!( 6.Qd3!? Bxf3? 7.Qb5+ )
5...Nh5?! 6.Bg5 h6 7.Bh4 g5 8.Ne5!
5...Nbd7? 6.Nb5


6.Be2


黒がキングサイドフィアンケットしている場合、d3 ではなく e2 に白マスビショップを展開するのをよく見る。

6.Bd3 c5 or 6...Bg4
6.h3 c5


6...c5 


7.dxc5 で白が駒得するように思えるが 7...Nbd7 や 7...Qa5 で黒は問題ない。

d4 ポーンに対し黒が c7 → c5 とするのはよくあるが、白の指し手やタイミングにより影響が異なる。

6...c6 7.h3 or 7.h4!?
6...b6 7.Ne5 c5?! 8.h4!

白が h ポーンを進めキングサイドを攻めてくる場合があるので黒は注意したい。


7.Ne5


d4 オープニング特有の Ne5、黒にとって厄介で対応を問われる。

f3 → h5 ラインが開かれる。Nf6 → Nh5 として Bf4 を攻撃してくれば Bxh5 gxh5 Qxh5 となる。


7...Nc6


c5 ポーンと共に d4 へ圧力をかける。Nc3 がいるため白は c2 → c3 として d4 ポーンの守りを強化できない。

Nc6 は Ne5 に攻撃を受けているため b7 → b6 とできない面もある。

7...cxd4 8.exd4 Nfd7!? 9.Nf3 Nf6
7...Be6 8.0-0 Nbd7 9.Bf3 Rc8


8.0-0


前述の変化にあったように、場合によっては h2 → h4 とポーンを進めてキングサイド攻めしていくこともあるが、それが悪い場合もある。

8.h4?! cxd4 9.exd4 Qb6 or 9...Ne4!?


8...cxd4


9.exd4 のあと 9...Qb6 で d4 ポーンを攻めるのが1つの狙い。

c ファイル が ハーフオープンファイル となる。


9.exd4


e ファイル が ハーフオープンファイル となる。

9...Qb6 とされると b2、d4 ポーンを攻撃されるため対応が必要となる。
Nc3 が現時点では良い働きをしていないのが気になる。


9...Qb6


b2 と d4 にダブルアタック、白はどうすべきか?

9...Nd7 10.Nxd5 Ndxe5 11.dxe5 Nxe5
9...Bf5 10.Qd2 Nd7


10.Nxc6


Nc6 を消すことにより d4 ポーンへの攻撃を減らす。


10...Qxc6


ポーン と クイーン、どちらでも Nc6 を取れるが白のビショップペアの利きがよく働いているため、黒クイーンを動かす場合は注意が必要。

10...bxc6
d5 ポーンをサポートできるが c6 がバックワードポーンとなる。
10...bxc6 11.Na4 Qa5 12.c3 Nd7

11.Bb5!? Qb6 12.a4 Qa5! などと続く( 下図 )



黒クイーンの位置は悪いように思えるが 白 a4 → a5 を防いでいる。

オープンな感じの局面。白はクイーンサイド、黒はキングサイドでポーンマジョリティ。

ここからどうしていけば良いか? 分かりづらい局面。そういう場合はマスターのゲームを見ることで参考になることが多い。

13.Re1 a6 14.Bf1 Re8 15.Be5 Bf5 16.Ra3 Ne4( 下図 )



駒交換の影響など、先程の局面よりは考えやすい。


参考文献

Barry Attack - Wikidedia
The Kenilworthian: Barry Attack Bibliography
The Barry Attack: Taming d-Pawn Sidelines!

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