リヒター ベレソフ アタック。
ドイツの International Master Kurt Paul Otto Joseph Richter( 1900 ~ 1969年 ) と ソビエト連邦の IM Gavriil Nikolayevich Veresov( 1912 ~ 1979年 )に由来している。
別のオープニングに Transpose することがあるため、白番で Richter-Veresov Attack を使うなら、それらの対応も必要となる。
例えば、Caro-Kann Defence、French Defence、Pirc Defence など。
Bxf6 でポーンストラクチャーを崩す、あるいは、f2 → f3 から e2 → e4 とするシャープな変化、の2つのアプローチがある。
主な変化
1.d4 d5 2.Nc3 Nf6 3.Bg5
3...Nbd7
3...e6
3...Bf5
3...c6
3...c5
黒の変化が多いため、熟練するまでは黒の方が対応しやすい感じがするが、不慣れな変化に黒も気をつけたい。
1.d4 d5 2.Nc3
d4 オープニングで c2 ポーンを進める前に Nc3 とすると、黒に d4 ポーンを攻撃された時、c ポーンで d4 ポーンを守れなかったり、c2 → c4 としてセンターの攻防に c ポーンを活用できない面がある。
一方、白はクイーンサイドのピースを早期展開し、クイーンサイド または キングサイド にキャスリングする選択を持つ。
黒が 2...Nf6 とすれば、白が 3.Bg5 としてくる可能性が高いため、黒はその変化に対策を持っていたい。
2...Nf6
3.Bg5 とされる可能性が高いが、キングサイドのナイトを無難に展開。
2...Bf5 2...Nc6 2...c5 2...g6
など黒2手目の変化も多い。
2...e5?! は疑問手だが油断できない。
2...e5?! 3.dxe5 d4 4.Nb5!( 4.Ne4?! Qd5! )
3.Bg5
Richter-Veresov Attack。クイーンサイドのピースを2つ展開したため、クイーンサイドにキャスリングしやすい。
Nf6 をピンしている訳ではないが、場合によっては Bxf6 で黒にダブルポーンを作らせる。そうなった場合、白はビショップペアでなくなるため、その後の戦い方を知らないと苦戦する可能性がある。
d4 オープニングとして始まったが変化によっては、French Defence、Caro-Kann Defence、Pirc Defence など e4 オープニングの局面になることがある。
3.Bf4 は Jobava Attack と呼ばれている。
3...Nbd7
定跡を知らなければ思いつきにくい手。黒3手目は変化が多く、黒が定跡を知ってなければこの手を指してくることは少ないかも知れない。
Bxf6 としてきた場合 Nxf6 でダブルポーンができない。
定跡を知らなければ、3...h6 や 3...e6 としそう。
3...h6?!
4.Bxf6 exf6 5,e3 c6
この時点では互角だが、その後、黒がビショップペアでなくなり、ダブルポーンが残った状態でエンドゲームに入ると黒不利となる可能性がある。
ちなみに 1.d4 Nf6 2.Bg5 の Trompowsky Attack でも 2...h6?! とするのは疑問手のようで 3.Bxf6 とされる。
3...e6 4.e4 となれば French Defence となるため、3...e6 とする黒はその変化の対応が問われる。
4.Qd3
クイーンサイド キャスリング可能となる。クイーンが e4 を支配しているため、黒 Ne4 を妨げ、白 e2 → e4 をサポートする。
4.f3!? 4.Nf3 4.e3 の変化もある。
4...c6
d5 ポーンを守り、 d8 → a5 ラインが開かれるためクイーンをクイーンサイドに回せる。
4...e6 4...g6 4...c5 4...h6
など、変化が多い。
5.Nf3
e7 → e5 を妨げ、黒の出方を見る( すぐ 0-0-0 しない )。
5.e4 Nxe4 6.Nxe4 dxe4 7.Qxe4 Qa5+
5...g6
5...e6 が悪いわけではないが Bc8 の活用が問題となる。
5...g6 から ...Bg7 とする方が黒としては無難。
5...b5 5...Qa5+ 5...h6 5...Qb6 5...e6
やはり変化が多い。
6.e4
Bf1 が展開可能となる、黒に対応を迫る( e4 → e5 となるのは黒は避けたい )。
6...dxe4
6...Nxe4 7.Nxe4 dxe4 8.Qxe4 ではナイトの交換が起きるが、6...dxe4 だと
すぐにはナイトの交換をしない模様。不要に駒交換せず、ピースを活用するためだろう。
7.Nxe4
6...dxe4 でフォークがかかっているため、ナイトで取り返す必要がある。
7...Bg7
キャスリング可能となる。
8.0-0-0
クイーンサイドにキャスリング。白のピースはキングサイドに多く、キングサイドを攻めやすいが、その分、黒のクイーンサイド攻撃で不利を招かないよう注意したい。
0-0-0 した直後は a2 ポーンが守られてないため、Kc1 → Kb1 として a2 ポーンを守ったりするが、そのために1手要する。
Bg7 の利きに対しても注意が必要。
8...0-0
互いに逆サイドのキャスリングとなった場合、相手がキャスリングしたサイドにポーンを進めて攻撃しやすいため、防御で困りやすい。適切な防御を行いたいのと、どちらの攻撃が早いかが問題となることも多い。
9.Kb1
すぐに a2 ポーンを守らなくても大丈夫そうだが、いずれ守るのなら、先に守っておいても問題ない( 状況による )。
9.h4 h5 10.Kb1 Nxe4 11.Qxe4 Nf6
9...a5
ポーンを進めスペースを得ながら攻撃していく。黒が a と b ファイルのポーンを進めやすいのに比べ、白はキングサイドでポーンを進めてもブロックされそうな感じ。
白はピースをどのように使っていけば良いか?
10.Ng3
黒の Bf5 を予防するのと、h2 → h4 → h5 をサポート。
10...Nb6!?
10...b5 とポーンを進めることも可能だが、c8 → h3 ラインが開かれるので Be6 として白マスビショップを活用しようとする。
11.c4!?
d4 ポーンをポーンで守れなくなるが、d5 を支配し 黒に Nd5 とさせない。
Bg7 の攻撃に、より注意が必要となる。
c2 にポーンがなくなったことにより、Kb1 と Qd3 が 黒 Bf5 でスキューアされる状況に注意したい( 現時点では Ng3 が f5 を支配しているので大丈夫 )。
11...Be6
白マスビショップの活用。c4 ポーンが攻撃されているのをどう守るか?
12.Qc2 Nbd7 13.h4 b5 14.h5 bxc4 15.hxg6 hxg6 16.Bxc4 Bxc4 17.Qxc4 Qb6 などと続く( 下図 )
h ファイルは黒のビショップとナイトに守られており、すぐ攻め込むことはできないため、まずは Bh6 でビショップ交換など。一方、黒は b ファイルや a ポーンを使い白キングにプレッシャーをかけられる。白としては守りが難しそうに思える。
補足
1.d4 Nf6 2.Nc3
3.e4 とする狙いがあるため、それを阻止すべく 2...d5 は良い手だが、そうなると 3.Bg5 で Richter-Veresov Attack となる。
ただ
2...c5 3.d5
2...d6 3.e4
2...g6 3.e4
2...e6 3.e4
などとなった場合は他の定跡となりやすいため、白は対応が必要。
参考文献
a ferocious opening repertoire - Cyrus Lakdawalathe veresov - Nigel Davies
Richter–Veresov Attack - Wikipedia
Opening Basics #41: Richter-Veresov attack
Chess Opening: A Trap in the Veresov [Part 1/2]
Chess Opening: Veresov Attack
Opening Basics #42: Jobava attack
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