English Opening


イングリッシュ オープニング。Flank opening の1つ。
英国のマスター Howard Staunton( 1810 ~ 1874年 )に由来。
トップレベルのマスター達にも使われている。

c4、Nc3、Bg2 などで d5 とその周辺の白マスを支配し、センターの戦いにいどむ。

1.Nf3 と同様に、他のオープニングに transpose しやすく、相手( 黒 )にとっては不慣れな変化、自分にとっては好ましい局面となるよう仕向ける。

1.e4 や 1.d4 に比べると少ないが中級者以上では 1.c4 を使ってくるプレイヤーが出てくるため、中級者レベル( R1500 ~ )に達してきたら、黒番として対策を持っていたい。


主な変化


1.c4

1...e5 Reversed Sicilian
1...c5 Symmetirical Defence
2つのメジャーな変化

1...Nf6
この時点では他の変化に transpose 可能で黒が次に何を指してくるか分からない。

1...e6
2...d5 とすることが考えられる。2.Nc3 d5 3.d4 となれば Queen's Gambit Declined になるが、白は 2.Nf3 とすることも多い。

その他
1...f5  1...g6  1...c6  1...b6  1...g5  1...b5
などの変化もある。


1.c4


English opening。初手に d または e ポーンを進めてセンターを支配する代わりに、c4 で d5 のマスを支配。

さらに Nc3、Bg2、d3 などで白マスを支配し、好形を築きながら攻めの準備をととのえていく。

d1 → a4 ラインが開かれているため、黒 d ポーンを進めた場合、 Qa4+ から不利を招かぬよう黒は気をつけたい。

黒としては白が何をしようとしているのか? 始めは分からず、気づかぬうちに不利な状況に追い込まれていることが多い。


1...c5


Symmetrical Defence。1.e4 e5 、1.d4 d5 、のように 1.c4 c5 も可能。
d4 の黒マスを支配。d8 → a5 ラインが開く。

c ポーンの前進を妨げることなく ...Nc6 とできる。

定跡で 1...c5 と指せるが、白は何をしようとしているのか? だけでなく、黒は何をしようとするのか分かってないと、戦いづらい。

1...e5 と 1...e6 は後述の補足にて。


2.Nf3


d と e ポーンをまだ動かしてない形が興味深い。
キングサイドのナイトを展開、センター d4 e5 の黒マスを支配する。

状況により d2 → d4 とする狙いがある。

2.Nc3 の変化は黒に好形をもたらすことが多い模様。
白としては 2.Nf3 とするとしても、黒としては 2.Nc3 に対応を持っていたい。

2.Nc3 Nc6 3.Nf3 e5 or 3...Nd4
2.Nc3 g6 など


2...Nf6


同じように展開。黒も d7 → d5 とする狙いを持つ。

2...Nc6 の変化もある。
2...Nc6 に 3.d4 としないと、黒に 3...e5 や 3...Nd4 とされる可能性がある。

2...Nc6 3.d4 cxd4 4.Nxd4 Nf6( 黒4手目の変化はいくつかある )


3.Nc3


2つ目のナイトを展開。Nf6 に対して Nc3 とするのは良い模様。

English opening では c3 f3 c6 f6 の4ヵ所にナイトが展開することがよくあり、センターの攻防が起こる。

3.d4 cxd4 4.Nxd4 e5
4...e6  4...g6 などもある。


3...d5


早くもセンターで仕掛ける。c4 ポーンを攻撃されているため白は対応を問われる。

c8 → h3 ラインが開かれ Bc8 が展開可能となる。
a4 → e8 ラインも開いているため、Qa4+ から不利を招かないよう黒は気をつけたい。

3...e6  3...Nc6  3...g6  3...b6 
など、黒3手目は変化が多い。


4.cxd5


自然に取り返す。d と e のセンターファイルでは白がポーンマジョリティを得る。

4.d4 という手もあり、4つのポーンの関係に始め惑わされる。
4.d4 cxd4 5.Nxd5 Nxd5 6.cxd5 Qxd5 など


4...Nxd5


クイーンサイドのポーンの数は同じだが、白は d ポーン、黒は c ポーンを保有。アンバランスな感じはここからどうしていくのか興味をそそる。

センターの攻防は続く。


5.e3


Bf1 が展開可能となり、d2 → d4 が考えられる。

5...Nxc3 とされるとポーンで取り返さねばならないが、6.bxc3 で大丈夫( 6.dxc3 も可能 )。

5.Nxd5 Qxd5 は黒に都合がいい。


5...Nxc3


6.bxc3 となると 黒マスにあるポーンにより、Bc1 が活用しづらい感じになるのと、a ポーンが孤立ポーンとなる。

一方、黒の Bc8 は e7 → e6 とする前に f5 や g4 に展開可能で、黒 b ポーンを進めれば Bb7 や Ba6 とすることもできる。

5...e6  5...Nc6 の変化もある。


6.bxc3


d2 → d4 とした時、c3 ポーンが d4 ポーンをサポートする。

Bc1 をどう使うか課題となる。c3 にポーンがなくなれば Bb2 を活用できそうだが、この変化で黒は g7 → g6 から Bg7 とすることが多いようなので、それにどう対応するか?

6.dxc3 Qxd1+ 7.Kxd1 は白がキャスリングできなくなるが、まだ戦える状況。ただ、ここからどうしていくかある程度分かってないと厳しい展開になりそう。


6...g6


Bg7 として h8 → a1 ラインを活用する。f6 にナイトがいないため、Bg7 の利きがセンターに及び、Ra1 にも影響を与える。

6...Qc7 7.d4 g6 8.Be2 Bg7


7.h4


h4 → h5 と続け、キングサイドを攻める積極的な手。
白キングの安全性が問われるため、このような状況に慣れてないと難しいかも知れないが、黒にとっても厄介。

7.d4 Bg7 8.Bb5+ Bd7 9.Bd3 0-0
7.Bb5+ Bd7 8.Be2 Bg7 9.0-0 0-0


7...Bg7


8.h5 とされるが、h8 でルーク交換となった場合 ...Bxh8 とできる。

先に進むにつれ、Bg7 の利き( g7 → a1 )を忘れがちになるため、白は気をつけたい。

7...h6
8.h5 に 8...g5 とできる。
7...h6 8.Ba3!? Qc7 9.Qb3 Bg7

7...h5
自然に感じるが、あまり指されない模様。


8.h5


hxg6 で h ファイルを開く狙いがあるが、黒がまだキャスリングしてないため、h ファイルで単にルーク交換となっては白にとって旨味がない。


8...Nc6


ナイトを好位置に展開する。

8...0-0 9.hxg6 hxg6 で h ファイルが開くのは黒にとって良くない気がするが、白は開いた h ファイルをすぐ活用できる訳でもないため 8...0-0 は可能。

8...gxh5?
黒 h ポーンが孤立ポーンになったり、黒キングの安全性に問題が起こるのでオススメできないが、もし黒が強いコンピューターだったらこのような手でも戦えるだろう。


9.Bc4


あまり使われない手のようだが、黒に問題をもたらす可能性あり。

9.Qb3  9.Ba3  9.Rb1  9.Be2 の変化もある。


9...a6


b7 → b5 と続けて Bc4 を追いやりながらクイーンサイドでスペースを得る、...Bb7 も可能となる。

9...0-0 10.hxg6 hxg6 11.Ba3 Na5 12.Be2 b6
9...Bg4?? 10.Bxf7+ Kxf7 11.Ng5+ Ke8 12.Qxg4


10.d4


ようやくセンターにポーンを進め、黒に対応を迫る。
10...cxd4 11.cxd4 となるとクイーンサイドで黒がポーンマジョリティとなるのは気になる。


10...b5


Bc4 の後退を強いる。
黒側は少し危ない感じになるらしい。

10...cxd4 11.cxd4 Na5 12.Bd3 Be6 13.Ng5 Bc4
10...e6 11.h6 Bf6 12.0-0 b5 13.Bd3 Bb7
10...e5? 11.hxg6 hxg6 12.Rxh8+ Bxh8 13.Qb3 Qe7

10...b5 11.Bb3 0-0 12.Ng5 e6 13.Ne4 などと続く( 下図 )



黒が 0-0 しているので hxg6 で h ファイルが開くと黒にプレッシャーがかかるが、白キングの安全性もあり、黒のキングサイドを攻めるのは容易ではなさそう。

黒は白のキングサイド攻めに対応しなければならないが、白よりマイナーピースを活用しやすい感じ。


補足


チェスを始めてしばらくは自分で 1.c4 と指すよりも、相手( 白 )が 1.c4 と指してきた場合にどう対処したら良いか? ということが多い。


1.c4 e6


2...d5 とする狙い。1.c4 に対し、初手に何を指したら良いか? 分からない場合は 1...e6 から 2...d5 とするのは覚えやすいが、1.e4 プレイヤーにとってはあまり馴染みのない局面になるので、戦いづらかったりする。



1.c4 e5


1.c4 e5 は Reversed Sicilian と呼ばれる。黒としては 1...d5 2.cxd5 Qxd5 3.Nc3 となるよりは、1...e5 とできると言った感じ。

1.e4 プレイヤーであればいずれ 1.e4 c5 の Sicilian Defence に多く遭遇するため、1.c4 に 1...e5 とするのは Sicilian Defence を逆にした形のため、1...e6 とするより、こちらの方が対処しやすいように思う。
ただし、白番または黒番で Sicilian Defence の経験をそれなりにした後。

白番で 1.c4 とするなら 1...e5 への対処は必須。白は g2 → g3 から Bg2 として白マスを支配することが多い。


1.c4 d5


1.c4 d5 は 1.d4 c5 や 1.d4 e5 のような Gambit ではないが、短時間のゲームなどで遭遇する可能性はある。

1.c4 d5 に 2.d4 とすれば 1.d4 d5 2.c4 の Queen's Gambit になる。
2.Nf3  とすれば Réti Opening となる。

1.c4 d5 2.cxd5 Qxd5 3.Nc3 となるのは黒にとって望ましくないが、
1.c4 d5 2.cxd5 Nf6 3.Nc3 Nxd5 などの変化があり、白にとって油断できない。


参考文献

the English - David Cummings
English Opening - Wikipedia
Chess openings - English Opening
The English Opening: A simple but strong opening to learn! - GM Roman Dzindzichashvili
Opening Basics #11: English opening - Symmetrical defenses

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