Bogo-Indian Defence


ボゴ インディアン ディフェンス。
ロシアに生まれ、ドイツに移住したグランドマスター
Efim Dmitriyevich Bogoljubov( 1889 ~ 1952年 )に由来している。

Nimzo-Indian Defence を避けようとする白に対し、かまわず Bb4+ とする
攻撃的な定跡。白が 4.Nc3 とすれば Nimzo-Indian に Transpose するが
4.Bd2 と 4.Nbd2 2つの変化がある。 

3...b6 の Queen's Indian Defence に人気は劣るが、黒がどのような戦い方をするのか、Bogo-Indian も興味深い。


1.d4 Nf6 2.c4 e6 3.Nf3


3.Nc3 とすれば e2 → e4 の狙いがあるが、3.Nf3 はキングサイドのナイトを展開する静かな手。3.Nc3 Bb4 の Nimzo-indian Defence を避けることができる。

黒3手目の選択がある。
3...d5 Queen's Gambit Declined
3...b6 Queen's Indian Defence
3...c5 4.d5 b5 Blumenfeld Countergambit

そして


3...Bb4+


Bogo-Indian Defence。早くもチェックをかけ対応を迫る。

4.Bd2 と 4.Nbd2 が主な変化となるが、Good Bishop を交換するメリットは何か?

黒は黒マスビショップがなくなっても好形を築き、展開の速さを生かして戦える。Bc8 を b7 → b6 から Bb7 として活用したり、d7 → d6 から e7 → e5 として Bc8 のラインを開いたり、ポーンを黒マスに配置して戦う戦略がある。

4.Nc3 は Nimzo-Indian Defence の Kasparov Variation  に Transpose。


4.Bd2 


黒マスビショップの交換になると、ビショップペアの利点はなくなるが、黒が Bxd2+ としてくれば駒交換でピース展開できる。

4.Nbd2
Bxd2+ となった場合、白はビショップペアを保有できる。
5.a3 で交換をうながす( あるいは Bb4 を後退させる )。

黒は 4.Bd2  4.Nbd2 どちらの対応も必要。


4...Qe7


Bb4 を守り、5.g3 Nc6 から白の変化を見て対応するアイデア。

4...Nc6?! 
Nc6 を展開し、Bb4 を守ろうとすると、5.Bxb4 という選択を白に与える。4...Qe7 5.Bxb4?? Qxb4+ 6.Qd2 Qxc4 との違い。

4...a5
クイーンサイドでスペースを得る一方、ポーンストラクチャー の弱さもある sharp な変化。

4...c5
5.Bxb4 cxb4 で黒にダブルポーンができ、c5 ポーンによるセンターへの影響がなくなるが、b4 ポーンは白にとって厄介なため、6.a3 ですぐポーン交換を迫る変化もある。

4...Bxd2+
あまり人気はないが、互角の局面になり、マスターレベルではドローになりやすい。

4...Be7
交換を避け、Bb4 を後退させるのは無駄に思えるが、白の Bd2 は misplaced( その場所は良くない )なため、それをとがめるような手となる。


5.g3


白マスビショップを g2 で活用するのがメインライン。

5.e3 がダメなわけではないが、e4 のマスが白は弱いため、5.e3 b6 から Bb7 とされると嫌な感じになる。

5.a3 Bxd2+ 6.Qxd2 0-0 7.Nc3 d6

5.Nc3 0-0 6.g3 Nc6 7.Bg2 Bxc3


5...Nc6


キャスリング前に Nc6 としておくことで、白が不利を招く可能性が出てくる。

5...Bxd2+ 6.Qxd2 Nc6

白6手目は 6.Nc3 または 6.Bg2 が多く、黒はそれぞれ対応していく。


6.Bg2


問題ないが 6...Bxd2+ の応手に気をつける必要がある。

6.Nc3 Bxc3 では、白はビショップペア保有となるため
こちらの方を指したくなるか?

6.Nc3 Bxc3 7.Bxc3 Ne4 8.Rc1 0-0 9.Bg2 d6

6.Bg2 6.Nc3 どちらもその後の流れがためになる。


6...Bxd2+


白のピース展開を助けるようだが、互いにビショップペアでなくなる。
Bc8 は活用しづらく思えるが d7 → d6、e6 → e5 などから活用できるようにしていく。

6...Bxd2+ に対し白は、どのピースで Bd2 を取るか注意が必要。


7.Nbxd2


Nd2 は c4 ポーンを守り、e2 → e4 をサポートできる。

7.Qxd2 とどちらが良いか迷うが、7.Nbxd2 の方が好まれる。

7.Qxd2 Ne4 8.Qc2 Qb4+ 9.Nc3 Nxc3+ からどうなるか?
下記動画がためになる( 音声英語 )

GM Eugene Perelshteyn teaches you a cool Bogo-Indian Trap!


7...d6


覚えておきたい手。白が e2 → e4 としてくることが考えられるため、d6 としておけば 白 e4 に e6 → e5 とでき、Bc8 を活用しやすくなる。


8.0-0


e2 → e4 とする前に 0-0 しておく。先に 8.e4 としても同じ局面になりやすい。

8.e4 e5 9.d5 Nb8 10.0-0 a5

8.Nf1
奇妙に思えるが、Nf1 を e3 に運んだ後、黒が e6 → e5 としてきたら Ne3 → Nd5 とするアイデア。e2 → e4 が閉じた局面になりやすいのに比べ、Nd5 から駒交換が起きれば、セミオープンな感じになる。


8...0-0


黒もキャスリング。白が良さそうに見えるが、e6 → e5 で Bc8 のラインを開けば黒は悪くない。

白 Bg2 の利きが開いた時、不利を招かないよう注意したい。


9.e4


センターにポーンが3つ並び、黒としては嫌な感じがするが、e6 → e5 と対処できる。白としては 9...e5 に 10.d5 とできるが Bc8 の利きが開く。

e4 にポーンがあると、h1 → a8 ラインで Bg2 の効力が弱まるが、センターにある3つのポーンは強力。

e2 にポーンがなくなったことにより、Nf3 をポーンで守れないため、Bg4 とされた時 少し困る。h2 → h3 で Bg4 を後退させられるが、そうするとキング周辺の守りに影響が出てくる。

9.Qc2
e2 → e3 とする変化もある。
9.Qc2 a5 10.a3 e5 11.e3 h6 など


9...e5


10.d5 とされると Nc6 を動かす必要があるが、Bc8 の利きが開かれる。

10.dxe5?? dxe5 では白ポーンが1つなくなった影響は大きいので、白としては気をつけたい。


10.d5


白 d ポーンが無くなることは黒に都合が良いため、d4 → d5 で d ポーンを
保ち、Nc6 を追いやる。

センターポーンがブロックされている時の戦い方は覚えておきたい状況の
1つ。いろんなパターンがあるが考えられることは

① センターポーンとマイナーピースの関係

上局面では Bg2 は Bad Bishop( センターポーンと同色のビショップ )のため、白黒ともにピースがビショップだけ残った場合、白が不利となる可能性。

センターが閉じられた局面のためナイトを1つは残して活用したい。など。


② ポーンが進む影響

センターポーンがブロックされていると、キングサイドのポーンを進めての攻撃が有効となる場合がある。ちなみに、センターポーンがブロックされてない状況でキングサイドのポーンを進めると、キングの安全性に問題が生じる場合が多い。

どこでポーンブレイクが起こるか?

白 f2 → f4、 c4 → c5
黒 f7 → f5、 c7 → c6


③ クイーンサイド

互いに 0-0 していてセンターポーンがブロックされていると、キングサイドの攻撃に気をとらわれるが、クイーンサイドの影響も考える必要がある。

キングサイドで攻めづらければ、クイーンサイドの攻防になったり、自分はキングサイドで攻めていても、相手がクイーンサイドから反撃してくる場合もある。

クイーンサイドの影響を忘れてはならない。


10...Nb8


もとの場所に後退となるが、d4 → d5 で 白の c5 支配がなくなったため、a7 → a5 で 白 b4 を防ぎ、Na6 で c5 のマスを活用することが考えられる。
11.b4 には 11...a5 12.a3 Na6 など

11.Ne1 a5 12.Nd3 Na6 13.a3 Bg4 14.f3 Bd7 などと続く( 下図 )



白 f3 → f4、 黒 f7 → f5 のブレイクが考えられるが、黒 e5 ポーンが d6 ポーンに守られているのに比べ、白 e4 ポーンは f3 → f4 とするとバックワードポーンとなる弱さがある。

ビショップは黒の方が良い働きをしており、白としてはビショップ同士の交換をしたいか?

クイーンサイドは b2 → b4 で白から仕掛けやすい感じ。

これからどこにオープンファイルができるか。
ポーンの進め方により弱点ができたりするので気をつけたい。


補足


3.g3 Catalan Opening


f3 にナイトがないため、h1 → a8 ラインで Bg2 の効果が発揮される。
黒が g7 → g6 とするのを妨げる。

3.d5 が Catalan の変化だが、Bogo-Indian を使うプレイヤーは 3...Bb4+ とすれば、馴染みの変化になりやすい。

3...Bb4+ に対しては
4.Bd2  4.Nc3  4.Nd2 などの変化がある。

4.Bd2 Qe7 5.Bg2 Nc6

4.Nc3 Nimzo-Indian Defence の Fianchetto Variation
4.Nc3 0-0 5.Bg2 Bxc3+ 6.bxc3 d6 7.Nf3 Nc6 8.0-0 e5 など

4.Nd2 c5 5.a3 Bxd2+ 6.Qxd2 cxd4 7.Nf3 b6


参考文献・動画

Bogo-Indian Defence - Wikipedia
Bogo-Indian Defence, Monticelli Trap - Wikipedia
opening repertoire Nimzo and Bogo Indian - Christof Sielecki
Vol.37 Roman’s Lab Encyclopedia Of Chess Openings Volume 1
Chess Trap 23 (Bogo-Indian Trap)

コメント

hitsujyun さんの投稿…
Libelle64 さん
ありがとうございます。ご参考になりましたら幸いです。
自分がチェスを始めたころは、英文を読むのに抵抗があり、かと言ってオープニングに関しては和書で詳しく書かれた本がなく、オープニングを学ぶのに困っていました。

抵抗はあったものの学びたい気持ちが強く、Winning Chess Openings の洋書を少しずつ読み進め、読み終わったころには英文への抵抗がかなり弱まったのを覚えてます。

チェスの面白さの1つはいろいろなオープニングがあることですね^^