Catalan Opening


カタラン オープニング。白ポーンを c4 d4 g3 に配置する定跡。
黒が d7 → d5 としてこなければ他の定跡に Transpose する可能性もある。

1929年にスペインのバルセロナ( カタルーニャ州の州都 )で行われたトーナメントで Savielly Tartakower( 1887 ~ 1956年 )がこの定跡を使ったことに由来している。

King's Indian Attack のように黒のキングサイドを攻めていくのと異なり、Catalan では Bg2 を活用する戦い方が始めは分かりづらいが、戦い方が分かってくれば面白さが出てくる。


主な変化


1.d4 Nf6 2.c4 e6 3.Nf3 d5 4.g3
4...b6
4...c5
4...c6
4...Bb4+


4...dxc4 5.Bg2  Open Catalan

5...Be7
5...Bd7
5...B5
5...c6
5...c5
5...a6
5...Bb4+
5...Nc6


4...Be7 5.Bg2 0-0 6.0-0
6...Nbd7
6...dxc4 Classical Variation( Main Line )

参考文献
The Powerful Catalan: A Complete repertoire for White
Victor Bologan


1.d4 Nf6 2.c4 e6 3.Nf3 d5


3.Nf3 で白は 3.Nc3 Bb4 の Nimzo-Indian Defece を避けることができる。黒3手目は

3...b6 Queen's Indian Defece
3...Bb4+ Bogo-Indinan Defence
3...c5

の選択もあるが、3...d5 とすれば Queen's Gambit Declined の変化となる。
e6 ポーンが Bc8 の展開を妨げているため、Bc8 の活用が問題となる。


4.g3


Catalan Opening。Bg2 を h1 → a8 ラインで活用する。

慣れないうちは黒としてどのように対処したら良いか迷うが、大別すると
4...dxc4 で h1 → a8 ラインを開く Open Catalan、とそれ以外となる。

黒の変化が多いため、白として各変化への対応が必要になってくるが
様々な局面で学ぶことも多い。

4.Nc3 
3.Nc3 としなかったことで Nimzo-Indian Defece を避けたが 3...d5 で
状況が変わったため、4.Nc3 とすれば QGD でよくある変化となる。 


4...Be7


メインライン。0-0 可能となる。g3 にポーンがあるため、Bd6 としても
有効ではない。Nf6 を守ることにより、 Bg5 とされても Nf6 を動かせる。


5.Bg2


まずはフィアンケット。c4 ポーンが攻撃されていることが気になるが
...dxc4 で h1 → a8 ラインが開くと Bg2 が脅威となり、黒の手は
制限されてくる。


5...0-0 6.0-0


6...dxc4 とされると一時的に駒損するが、前述の通り 黒が ...dxc4 と
するのはリスクもある。

c4 ポーンが攻撃されている状況で Bb4+ など受けるため、黒が 0-0 する
タイミングで白も 0-0 しておく。


6...dxc4


Classical Variation。h1 → a8 ラインが開き d5 にポーンがなくなることは
黒にとって良くないように思われるが、7.Qc2 a6 8.Qxc4 に 8...b5 で
クイーンを攻撃し 9...Bb7 とできる。

6...dxc4 で d5 のマスが空いたため、黒は状況によりナイトやビショップを
d5 に配置できる。

6...c5 は QGD の Tarrasch Variation のようになる
6...c6  6...Nbd7 は Closed Catalan 


7.Qc2


c4 ポーンを攻撃し黒に対応を迫る。ルークを d1 に持ってくることも可能となる。

7.Ne5 Nc6 8.Nxc6 or 8.Bxc6


7...a6


8.Qxc4 に 8...b5  9...Bb7 とできる。

7...b5 8.a4 b4 9.Nfd2 or 9.Nbd2
7...b6 8.Bg5 Nd5 9.Bxe7 Qxe7


8.a4


黒 b7 → b5 を妨げる。b7 → b5 を妨げられた黒は次に何を指せば良いか?

8.Qxc4 b5 9.Qc2 Bb7 の変化もある。


8...Bd7


9.Qxc4 や 9.Rd1 に 9...Bc6 とするアイデア。
9.Ne5 には 9...Nc6 とする模様( 9.Ne5 Bc6 も可能 )。

8...Bd7 とすると、b7 ポーンの守りが外れるため、定跡とはいえ、気をつけたい。


9.Qxc4


取り返しておく。c と d ファイルが ハーフオープン ファイルとなっている。


9...Bc6 


Bg2 に対抗する好位置。10.Ne5 には 10...Bxg2 。

b7 → b5 で Qc4 が攻撃されるので白は注意。


10.Bg5


Nc3 としたくなるがビショップを展開する方が良い。

10...h6 や 10...Nd5 となるとどうなるか? などすぐ思いつくが
思わぬ反撃がやってくる・・・

10.Bf4 a5 11.Nc3 Na6 12.Rac1 Nb4
10.Nc3?? b5! 11.Qd3 b4 12.Nb1 Be4
10.Nbd2? Bb5! 11.axb5?? axb5 12.Qxb5 Rxa1


10...Bd5


あり得る手だが、定跡を知らなければ、エッ?? と思うような手。
センターにあるピースの効力は高く、白はこのビショップに悩まされる。


11.Qc2


黒のビショップペア利きがあり、後退場所が限られる。
Qc2 が無難に思うが、追撃の手がくる。

11.Qd3 c5 12.Nc3 Bc6 13.Rfd1 cxd4


11...Be4


Qc2 は黒のキングサイドに攻撃を与える好位置なので、b1 → h7 ラインから
排除させる。後で Nbd2 または Nc3 で Be4 が攻撃される面がある。

d5 にビショップがいなくなったため、d4 ポーンの守りに白は気をつけたい。


12.Qc1


d1 に Rf1 を持ってくるため Qd1 としない。
12.Qd1 も可能。12.Qd1 c5 でオープンな局面になり、シャープな感じとなる。

12...h6 13.Bxf6 Bxf6 14.Rd1 a5 などと続く( 下図 )



オープンな感じの局面で白はビショップペアを放棄、15.Nbd2 とすると
定跡では黒も 15...Bxf3 でビショップを交換する面白い流れ。
Good Bishop を残して戦う。

白は e3 で d4 ポーンを守り、c 及び d ファイルが開くことに備える。
黒は c7 → c6 で d5 を強化、Nb8 → a6 → b4 → d5 など。

クイーンサイドの攻防となりそうで、黒の方からポーンをぶつけやすい



補足


1.d4 Nf6 2.c4 e6 3.g3


3.g3 としたことにより、c4 ポーンが狙われやすくなる。何故なら、 Bg2 とすると Bf1 の利きが c4 に及ばなくなるため。そのため黒が 3...d5 とするのは妥当。

3...c5 や 3...Bb4+ となる場合も もちろんある。



参考文献・動画

The Powerful Catalan A Complete Repertoire for White
Victor Bologan
Catalan Opening - Wikipedia
Opening Basics #48: Catalan Opening - part 1
Chess openings - Catalan Opening
The Basic Catalan( lichess study )

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